材料計測 (二軸引張試験機(カトーテック社製))
計測の概要
弊社ではゴム材料などを対象として二軸引張試験機を導入し、多軸場に対する超弾性材料の計測業務を開始致しました。得られた荷重-変位関係を応力-ひずみ関係に換算するだけでなく、OgdenあるいはMooneyモデルなどのひずみエネルギ関数の形式により、汎用FEM(Abaqus、Marc、Ansys LS-DYNA)の入力データに変換するサービスを行っております。
弊社に導入された二軸引張試験機は、京都大学・故川端季雄先生の流れを継承する機器で、現在、滋賀県立大学殿、山梨大学殿などにおいて使用されているものと同じ系統に属します。
試験片は□80mm、厚さ1~2mmの薄板状で、チャック式のつかみ具によって把持されます。そのため、素材に特殊な加工を施す必要がなく、薄板状に成形された製品から切り出して試験片とすることが可能です。チャック部分を除く変形領域は、およそ□60mmですが、ほぼ一様なひずみ分布が得られることを確認しています。
試験モードとしては、一様二軸引張、一軸拘束二軸引張(純せん断)のほかに、任意のひずみ比による二軸引張試験が可能です。
二軸引張試験機(カトーテック社製)
チャック間距離 | 60mm |
最大引張り変位 | 120mm |
引張り速度 | 0.1~20mm/sec |
最大荷重 | 100kgf |
チャック数 | 24個(X軸方向:10個、 Y軸方向:10個、コーナーチャック4個) |
可能な載荷方法 | 個別二軸延伸、二軸同時延伸、荷重延伸 |
カーブフィットの実施
- 得られた公称応力-公称ひずみの関係から、カーブフィットプログラムを用いてひずみエネルギ関数を同定します。
- 一般に、ゴム材料のひずみエネルギ関数を伸長比に対して3次元表示すると下図のような曲面形状を有しています。
多軸引張による計測とは、図中に示すような3本の経路に沿った試験に相当します。
すなわち、この経路上の計測データを用いて、ひずみエネルギ関数の曲面の全体像を推測する作業です。
- 弊社では、原点付近でのヤング率を制約条件にして低荷重領域での誤差を補償するなど、既存のものにはない実用的なカーブフィットプログラムを自社開発しており、これを用いて汎用FEMにそのまま入力可能なデータを提供します。
- 確認用に、Abaqus、Marc、あるいはAnsys LS-DYNA用の多軸応答の入力データを提供します。
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ひずみエネルギ関数の3次元表示と引張試験の経路 |