CAE受託解析 (代表的な解析実績:材料非線形問題)
1.カーブフィットプログラムの開発
非線形構造解析の運用を妨げる障壁の代表的なものは、材料モデルの同定です。
弊社では、最近需要の多い、ゴム材料と粘弾性材料を対象として、材料試験結果からFEM用の入力データを生成するためのプログラムを開発しています。
十分でない試験データからでも補完した結果を生成するなど、従来の同種のプログラムにはない実用上の利点を備えています。
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二軸引張試験機 |
ゴム材料カーブフィットプログラム |
粘弾性材料カーブフィットプログラム |
2.樹脂のネック伝播と材料同定
延性材料の引張試験では、延伸によって局所的なくびれを生じるため、計測できるひずみの大きさには制約があります。
特に樹脂の場合は、極端な塑性不安定、材料の配向、発熱など、困難な課題が多くあります。
ここに示す例は、樹脂のネック伝播に注目し、それをFEMで解析するだけでなく、スクリプト言語を用いた最適化ルーチンを使用し、荷重-変位関係から材料定数を同定するプロセスを開発したものです。
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ISO 引張試験片 (PBT樹脂、東洋紡績殿提供)
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あわせて、デジタル画像相関法によるひずみ分布の可視化を行い、評価手法の妥当性を検討しました。
- 参考文献:
- 藤川,野々村ほか,プラスチック成形品のネック伝播解析(3),成形加工,19-9,p.575,2007.
引張試験におけるネッキングの挙動
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ネッキング前 |
ネッキング開始 |
ネッキングの伝播 |
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引ひずみ分布に関するDIC (デジタル画像相関法による可視化)と FEMの比較 |
同定された荷重-変位曲線 |
3.ゴムブッシュの動バネ特性シミュレータの開発
自動車用サスペンションなどに用いられるゴムブッシュは、ゴムの超弾性と粘弾性を利用した緩衝部品です。
その動特性を計測する試験は動バネ特性試験と慣用的に呼ばれ、剛性と減衰を測定することを目的としています。
しかし、ゴムブッシュは金属でゴムをかしめた構造を有するため、製品に仕上がった状態でのゴムの特性を把握してFEMに適用することが難しく、従来、解析的な評価を妨げてきました。この種の問題に対するアプローチは、最初にゴム単体の静的な弾性を計測し、FEMに組み込み、動的な特性を付与し、、、というようなボトムアップ形式の手順を採用するのが常道と考えられてきました。
しかし実機の製造工程の難しさ、部品価格面からの制約といった諸事情を踏まえると、このような在来の手順が実を結ぶとは考えづらく、現状ではもっと大胆なアプローチが必要です。本例は、実測されたブッシュの荷重-変位関係からスタートし、最適化手法(GA)を用いてゴムの超弾性・粘弾性特性を推定した結果です。
現在、AbaqusのUMATの機能を用いてゴムの特性に塑性の効果を補足するなど、動バネ特性シミュレータの開発に向けて研究を進めています。
- 参考文献:
- 藤川,吉田ほか,サスペンション用ゴムブッシュの動的バネ定数評価システムの開発(第1報:材料定数の同定),自動車技術会,2007年春季大会,2007.
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目標反力(実測値) |
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反力近似結果(最適化を交えたFEM解析結果) |
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超弾性材料定数の同定結果 |
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